2017年2月18日公開予定の『愚行録(ぐこうろく)』
まさかこの作品が映像化するのか…という意外性から注目されている映画です。
宣伝ポスターはどこか向こうを見て、何か物思いにふけっているかのような男女2人の姿。
そして目を引くコピー。
「一家惨殺」「秘密を持った妹」「仕掛けられた3度目の衝撃」…
謎めいた、ミステリーな世界からきっと目が離せなくなります。
原作は貫井徳郎の小説「愚行録」
映画「愚行録」の原作は小説「愚行録」作者・貫井徳郎(ぬくい とくろう)さんの作品です。
貫井徳郎さんは早稲田大学商学部を卒業後、1993年に「慟哭」でデビューしました。
愚行録は賞こそ逃しましたが2006年の第135回直木賞の候補にあがりました。
作風はミステリーと人間の心の闇を中心に作られ、重々しい世界観ですがその文章に引き込まれます。
重く暗い内容に読み終わっても後を引くようなものがあり
「読んだ後にイヤな気分になるミステリー、通称イヤミス」
と言われていますが、名作と高い評価を得ています。
小説は会話文のみで進められ、映画では主人公になっている田中は小説では聞き役として描写されています。
会話文で進められる小説は珍しくもありませんが、7人の登場人物のモノローグだけで進められるこの愚行録は作者である貫井徳郎でさえも「映像化は不可能」と言っていました。
会話文のみでその背景や状況、風景を思い描いていく…
読み手によっては捉え方が無数になりえるという点から、映像化が難しいというのは納得です。貫井徳郎さんにとって愚行録が初の映画化作品になります。
キャストやスタッフ
映像化不可能と言われた愚行録を映画化にした監督は石川慶さん。
これまで長編監督はしたことがなく短編作品を中心に手掛けてきました。しかし様々な賞を受賞しており、その実力は確か。
愚行録が彼の長編監督デビューとなります。
映画では主人公として立ち回る週刊誌の記者・田中は妻夫木聡さんが演じます。
タイトルから人の愚かさを描いているということが分かりますが妻夫木さんは「人間は愚かな生き物なのだ、ということにこんなに真正面からぶつかった作品はなかなかありません」とコメントしています。
そのほかのキャスト
満島ひかり、
小出恵介、
臼田あさ美、
市川由衣、
濱田マリ、
平田満
など豪華メンバーで揃えられています。登場人物の一人ひとりが何かしら闇を持っているこの愚行録…彼らがどう表現し引きつけるのか。
映画「愚行録」のあらすじ
ある住宅街で起きた一家四人惨殺事件。被害者はエリートサラリーマンの夫、近所でも評判のいい美しい妻、そしてかわいい盛りで礼儀正しい娘。
仲睦まじい、まさに理想的な幸せな家族に起きた悲惨な事件。1年もの間、この事件は解決されることなく犯人は未だ捕まっていなかった。
妻夫木聡演じる週刊誌記者の田中はなぜ、この事件は解説しないのかと事件を調べ始める。
近所の中年主婦やママ友、夫の同僚、過去の友人、様々な方面の関係者にあたり被害者夫婦に関しての情報を集めて田中は不自然な点に気づく。
聞く人によって被害者夫婦の印象が全く異なっていたのだ。
ある人は「なぜあの素晴らしい人が殺されてしまったのか」、ある人は「あの人なら殺されても仕方ない」、ある人は「逆恨みだ」。
複雑な人間関係が田中のインタビューによって浮き彫りになっていく。世間で報じられた面とは違う被害者夫婦の顔…そして新たに引き起こされていく事件。
そしてまた田中のプライベートにも問題があった。彼の妹には過去に子供の虐待、育児放棄で逮捕されていた。
果たして一家惨殺の真犯人とは。
被害者夫婦の本当の顔とは。
田中の妹の事件は関係あるのか。
事件を調べる田中の真意は。
何重にも絡み合うミステリー。嫉妬、恨み、妬み、怒り…人間の負の感情が入り乱れる「愚行録」。
ミステリー自体は自分に覚えはなくても、負の感情には誰にでも覚えがあるはず。だからこそ読書後は気持ち悪くとも深く感銘を受ける作品と評価されているのでしょう。
最後に
正直言いますと、ここに物語のネタバレを最後まで書いても映画を見に行きたいと感じると思います。
私自身、今回調べてみて小説も映画も一切情報を持っていませんでしたが、大方の内容を読んでしまった今でも、この物語がどんな世界観で作られているのか、どんな紆余曲折があるのかきちんと読みたい、観たいと感じました。
作者も映像化にするのは不可能といった「愚行録」。
気になった方は是非映画館へ。
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