甘口ワインは日本酒の甘さに似ていると、日本食に合う洋酒として見直されています。甘口ワインと言えばドイツのワインと連想される方が多いでしょう。
なぜ、ドイツは甘口のワインが多いのでしょうか?
あの甘さが癖になる方もいるようですが、甘すぎて料理には合わないという方もいるようです。
実はドイツワインは甘口というイメージは、輸出のワインが甘口が多いということで、ドイツでの生産量では、辛口の白ワインの方が多かったのです。今回はそのドイツワインの甘口について少しお話したいと思います。
また、言葉が難しそうですが、格付けについても簡単に紹介してみます。特に覚える必要はないと思います。専門家ではないのでね。
ドイツワインはなぜ甘口が多いのか?
ドイツでは辛口も作られているのですが多くは国内で消費され、国外には最大の輸出国であるアメリカが好んだ甘口を出荷していたために、ドイツワインは甘いというイメージが定着したようです。
またその他にもドイツワインが甘い理由はあります。
ドイツは日本の北海道よりも北に位置しており、寒さが厳しくブドウの栽培に適しているとはいえません。
寒い上に日差しも弱いドイツではブドウを完熟させることが、難しかったことからワイナリーでは競ってブドウを完熟させ、甘いワインを作ることに精を出しました。
完熟ブドウが難しいドイツでは、完熟し甘く仕上げることが昔のドイツでは良いワインの定義だったということです。
甘いワインを作るためのブドウとは?
甘口ワインを作るためには
「ブドウの糖度を高めて栽培する」
「発酵を意図的に止める」
「甘みを添加する(補糖)」
といった方法を取る必要があります。
ブドウの糖度を高めてしまえば、自然に近い方法でワインを作成することが出来ます。ドイツでは昔からブドウをより甘くする方法を考案し続けていました。
そこで今では当たり前になった方法「遅摘み」が1775年に開発されました。熟したブドウをそのまま木につけたまま収穫せずに、干しブドウのように生乾きになるまで放っておきます。
乾燥されブドウの糖度が凝縮されたものをやっと収穫、それでワインを作ると非常に甘いワインが出来上がるのです。また寒い地方ということを利用してドイツでは「アイスワイン」も多く作られています。
アイスワインはドイツでは「アイスヴァイン」と呼ばれ、凍らせた状態のブドウを圧搾して作る甘口ワインのことです。
気温がマイナス7度以下になった時に収穫することで果実の中の水分が凍結、水分以外の糖分や他の成分が凍結していない部分に追い込まれて凝縮し、それを搾りだすことで甘いワインが出来上がります。
ドイツワインの格付けとは?
ドイツではワインの生産地とワインの糖度で等級が決まります。
等級は大きく4段階に分けられ下から
ターフェルヴァイン(テーブルワイン)
ランドヴァイン(地酒)
クヴァリテーツヴァイン QbA(生産地限定上質ワイン)
プレディカーツヴァイン QmP(生産地限定格付け上質ワイン)
があります。
最もワインとして出来が良いとされるプレディカーツヴァインはさらに6つに分けられます。
プレディカーツヴァイン QmPの6つの肩書き
●カビネット…プレディカーツヴァインの中で最も糖度が低い
●シュペートレーゼ…遅摘みのブドウを使用したワイン
●アウスレーゼ…完全に熟したワインのみを選定して作られたワイン
●ベーレンアウスレーゼ…貴腐ブドウの粒を選定して作られたワイン
●アイスヴァン…アイスワイン
●トロッケンベーレンアウスレーゼ…ドイツ最高級ワイン
ドイツのワインは名前が非常に長く地方名、村名、畑名、それに加えてブドウの品種や等級を記したら読むのが困難なくらい長い名前に…。
でもここまでこと細かに表示、管理することでドイツワインのブランドが保たれているのかもしれませんね
【ドイツワインのラベルの読み方】
最後に
ドイツのワイン生産量のほとんどが白ワイン、その中でも60%は辛口、40%は甘口と数字にしてみるとこんなもの?と思われるでしょうが、それでも世界と比較すると甘口の生産量が非常に多いドイツです。
近年では技術が向上して赤ワインも辛口ワインも生産量を増やしてきて、その品質も素晴らしいと注目を集めています。甘口だけでなくほかのドイツワインも是非出会ったら試してみてください。
ちなみに、最高に甘いワインの貴腐ワインですが、その名前の由来は「高貴なる腐敗」ということから、名付けられました。トロッとした甘さは癖になるデザートワインとして、女性にも人気ですね。
ドイツという地形が生み出すぶどうで作られる甘口ワインで、今夜は和食に合わせて見ては!
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